三冠馬最強パートナー、南井克巳

 

私が競馬を始めたのは、ちょうど「トウカイテイオー」が優勝を飾った引退レース・有馬記念からでした。

テイオーの復活レースに感動し、一気に競馬にのめり込んだ翌年、白いシャドーロールの三冠馬・「ナリタブライアン」が現れました。

そのパートナーだったのが「南井克巳」。最初に大好きになった騎手です。

 

競馬ビギナーだった私は、圧倒的な強さを誇るブライアンに心を奪われ、同時に鞍上の南井騎手のすごさを目の当たりにすることになりました。

とにかく迫力ある騎乗でした。

 

特に最後の直線の、やや強引な印象さえ与える追いっぷりは、思わずこぶしを握りしめてしまうほどでした。

馬に負担をかけないような騎乗が良しとされる中、南井騎手の鞍上は腕も身体もよく動き、ややもすると馬に大きな負担を与えているのではないかと思わせるほど力強いものでしたが、身体全部で馬にムチを入れる姿や「行け!走れ!」と言わんばかりのパワフルな手綱捌きは、結果、馬の力を最大限に引きだすことに繋がっていました。

 

レースに勝つために、自分の力と強い思いを馬に注いでいるような騎乗は本当に感動的で、まるで本人が走っているみたいでした。

ナリタブライアンが三冠を決めた菊花賞、どろんこ馬場の中、土で汚れたシャドーロールと薄いピンク色の勝負服が、まるで飛んでいるかのように走り抜けた姿は今でもはっきり覚えています。

 

そして勝利ジョッキーインタビューの少年のような笑顔は本当にステキでした。

 

第98回天皇賞(秋)レース回顧 南井克巳騎手

 

 

 

 

G1初勝利まで17年を要した南井克巳

 

 

私が競馬に興味を持ち始めた1988年に鮮やかな芦毛の馬「タマモクロス」が天皇賞春秋と宝塚記念古馬G1を勝ち上がり最強ホースの呼び声が高かったのですが、そのいずれのレースにもパートナーとして騎乗していたのが「南井克巳」騎手です。

南井騎手はこの年にG1初勝利となりデビューまで17年を要した苦労人です。

インタビューでも気さくで親しみやすい雰囲気には好感が持てました。

 

この苦労人がG1の初栄冠を勝ち取ると勢いが増してきて翌年は芦毛の怪物「オグリキャップ」とのコンビで連戦先勝、オグリの騎手は結構入れ替わっていますが、私は南井とのコンビが一番だったと思います。

この時期に騎手界のスーパースター「武豊」が「スーパークリーク」とのコンビで南井オグリと激闘を繰り広げました。

89年秋の天皇賞ではオグリが敗れてしまいましたが、翌月のマイルチャンピオンシップでは武のバンブーメモリーをゴール板直前でオグリが差して天皇賞の借りを返しました。

 

勝利インタビューで南井騎手が「今日はオグリの能力で勝てただけ、まだ借りは返していない、次のジャパンカップで借りを返す」と再度武スーパークリークへの対抗意識を燃やしていました。

 

今では考えられない二週続けての連闘となるオグリはジャパンカップに挑み、府中の直線で武スーパークリークを後方に置き外国馬「ホーリックス」との叩き合いの末同着でゴール。

僅かにホーリックスが先着となりましたが、当時の世界歴代最高タイムとなり競馬ファンに感動と驚きを与えたものでした。

 

オグリ引退後も「ナリタブライアン」とのコンビで三冠を達成するなど初騎乗から17年かかった大レース勝利騎手という遅咲きが信じられない活躍を見せてくれました。

現役を引退して10年以上になりますが今でも好きな騎手と言えば南井騎手を挙げます。

 

第54回 皐月賞 ナリタブライアン

 


 

(画像出典:ウィキペディア)

 

南井 克巳(みない かつみ)

1953年1月17日

京都府京都市伏見区出身

日本中央競馬会 (JRA) 元騎手、現在は調教師